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最終章 / 群馬人が尾道で空き家を見つけることはできるのか

公開日: : ユウジ 記事

以下の文は2016年8月に書いてあったもので、その記事を上げた今日は2017年7月5日です。

この記事を書いた頃から遥かに未来にいる今、便宜上、上げざるを得ない状況であるからして、あまり読まずに下書きフォルダから無理やり上げる。

なぜ当時この記事を上げられなかったのかわかりませんが、重ねて言いますが便宜上、公開ボタンを押すことにします。

 


 

 

こっちに越してから、早いものでもう3ヶ月が経った。

全くのノープランで来たものの、落ち着く暇など一日もないほどに忙しかった。

8月になってからようやく仕事も落ち着いたので

またこのブログも更新していこうと思うが、

まずは空き家探しの記事を終わらせねばなるまい。

久々に書く。

 

 

地元である群馬県で空き家を一軒改装し終え、

その全てを放り投げたくなるほどに群馬での生活に息苦しさを感じていた。

実際、息もできなくなっていた。

家賃もかからない、庭付きの大きな一軒家に住んでいながら。

 

身体的苦痛などまるでない、悠々自適な生活を送りながら、

地元の古い友人が一人、自ら命を絶った。

ぼくには彼がどういう経緯でその決断に至ったのか、

とてもよく、わかってしまった。

偶然ぼくではなかった。そんな気がした。

 

2015年12月、美術学校のデッサンモデルの仕事を頼まれた。

3日間、1日7時間、

椅子に座って動かないで壁の一点を見続けていた。

ちょうどいい瞑想だ、そう思っていた。

無心で、意識的に思考を排除して、

過去と未来を思考しては捨て、自分と他人を思考しては捨て、希望と絶望を思考しては捨て、

ただひたすら動かないように座って、壁を一点を見ていた。

その3日目の終わり際、

一切の前触れもなく

「尾道で、全てを吐き出せ」

という言葉が完璧な球体として自分の深い井戸の底から突然ポコンと浮上してきたのだった。

すみませんと言って椅子から飛び降り、手帳にその言葉を殴り書きした。

 

これはその後のぼくの身に起こったストーリーだ。

 

理由も明確にならぬまま、尾道へ飛び込み、

不動産を通さず自力で空き家を探し、大家さんと交渉し、

自分で作った契約書にハンコを押してもらい、

 

結論を言えばぼくは、

尾道で空き家を見つけ、居を構えることに成功した。

 

場所は尾道市向島町立花。

しまなみ街道のひとつめの島の、尾道から渡船で渡って島のちょうど反対側に位置する集落。

 

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人里から適度に離れた、

家の窓から瀬戸内海の海と島々を一望できる、

小さな平屋の一軒家だ。

条件に一切の妥協もない、とても居心地の良い大好きな場所だ。

 

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大阪のおじいさんが別荘として20年近く使っていたらしく、

大阪と向島を3カ月ごとに行き来していたらしい。

3月末が空き家探しのリミットで、もう半分諦めていたギリギリの3月下旬、空き家っぽかったのでいつも通り隣の家へピンポン押してみたら

「そういえばあのじーさん最近戻ってこんなぁ。」

とのことなので空き家のオーナーさん(向島在住)を紹介してもらい、話を聞きに行ってみたところ、

おじいさんは昨年末大阪で亡くなり、空き家となったあの家をどうしようか悩んでいるとのことだった。

めっちゃでかい声で「ハイッ!!」と両手を挙げたのは言うまでもない。

 

僕に許された期間は尾道のゲストハウス「あなごのねどこ」にヘルパーとして滞在できる2ヶ月間だった。

その間に見つからなければ、潔く群馬へ帰ろう。そう決めていた。

もちろん帰りたくはなかった。帰ったら色んなものが死んでしまう気がした。

できる限りのことをしながらも、やはりそう簡単なものではなかった。

 

何度大家さんとの交渉までいっても、「無理です」というたった一言でそこまで積んだものが儚く崩れ去る。

賽の河原を積むような、毎日ふりだしに戻されるような気分のまま時間だけが過ぎ、

3月も終わりに近づき、ブログを書くヒマも、心境でもなくなっていた。

 

 

今からちょうど一ヶ月半ほど前、6月。

尾道自由大学の「移住学」のゲストスピーカーとして呼ばれたことがあった。

移住者としての視点で、移住の仕方がおもろいから講義で話してくれと恩人に頼まれた。

 

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事前になにも考えず、その場で思ったことを話そうと決めていた。

ある生徒さんの一人が、「なぜ不動産を通さなかったのですか?」と質問をくれた。

ぼくはただ思ったことを口にした。「たしかに。なんでですかね。」みんな笑った。ぼくも笑った。

そんな簡単な方法がありながら、考えもしなかったことにその時はじめて気づいた。

そしてそれはなにか、とても重要なことのような気がした。

ぼくの目的は、「尾道に移住する」ということではなかったことに、そこで初めて気がついた。

 

ぼくはきっと、壁に必死でぶつかりたかっただけだったのだと思う。

それはお金を払って誰かに壊してもらうことはできないことはわかっていて、

自分のこの腕で、身体で、その壁は壊せるものなのかどうか、ただ試したかっただけだった。

 

「住む」という行為を限界まで等身大なものに引きづりこんで、

自分の住みたいと思ったところに住むことができるのか。

 

それは本当に「不動産屋に行って仲介料払って紹介してもらう」という方法以外では不可能なのかどうか、

自分の目で、手で、確かめたかっただけだった。

気づいてすらいなかったけど。

 

そしてその結果、不動産を通さず、自分の理想のさらに上のような条件の家を借りることに成功した。

その現実の中で、実際に日々を過ごしているというこの事実は、

今後のぼくの全人生において、一つの確固たる尺度として存在しつづけるのだろうと思う。

容易ではなかったけど。運が良かっただけかもしれないけど。

でもいけた。

本当に多くを学んだ。本当に。

 

 

人間、やろうと思えばなんだってできる!

なんてとても言えない小さい範囲内のことだけど、

その小さい範囲を誰に頼まれたわけでもなく担当したぼくは、ぼくなりにできる限りのことをやってみて、

実証することができた。

 

不動産とかコネとか過去とか経歴とか関係なく、

ぼくには自分が住みたいと思ったところへ自分の力で住むことができるくらい、

自由が残されているようだ。

そしてきっと、

これまでの日本人が培ってきた普通とされているあらゆるシステムも、

人々の普通とされている思考の基準も、

「時代性」を主体にして考えると、

大きくズレている。

信じるべきは圧倒的多数が放つ、曖昧な雰囲気ではなく、

自分の心に浮上した現実的で生々しい、指針だ。

 

ぼくは今幸せなのかもしれない。

 

とにかく最後は半年あきましたが、

群馬人は尾道で空き家を見つけることができました。

これを読んでいてくれた方、ありがとうございました。

 

住みだしてから、探してた頃に知り合った現地住民の方々が物件情報が出てくる度に連絡をくれるので、

尾道では今、井出不動産と呼ばれています。

 

 

 

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