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群馬人が尾道で空き家を見つけることはできるのか Vol.10

公開日: : 最終更新日:2016/03/08 ユウジ 記事

えー、

 

捨てる神あれば拾う神あり

 

という言葉がございますが、

 

ぼくはこの数日間で、

 

その言葉の真意を、身を持って実感するとなったわけでございます。

 

昔の人は本当にうまいことを言うものですね。

 

3月3日(木) 

 

実はぼくは、すでにピンときている物件がすでに見つかっておりました。

改装ばっかりしてたのも、

もうその家以外に考えられないくらいになっていたからでございます。

 

場所は向島の干汐の海岸沿い。

 

干汐

 

以前に記事を書いた、尾道で作られたドキュメンタリー映画の監督の方から紹介してもらった物件でした。

 

ちょうど愛翔ちゃんが群馬から遊びに来ていた時だったので、

2人でさわやかに自転車こいで物件を見に行き、

その物件が目に入った瞬間、

 

完全に頭の中でピンッ!!という音がしました。

 

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ぽつんと立った広い庭付きの平屋の小さいおうち。

目の前は海。

 

2016-03-07_151925

 

 

 

ここしかない!!ここがいい!!!

 

服に煮詰まった時はこの庭でアコーディオンとか弾いちゃったり!!

魚釣って晩ご飯のおかずにしちゃったり!!!!

 

 

目をギンギラさせながら

早速Tさんに「あれがいいです買ってもいいです!!!」と連絡し、

大家さんへメールしてもらってからというもの、

 

そりゃもうソワソワそわそわソワソワと、

メール着信音がピコーンと鳴るたびに、

天井まで跳ね上がるほどウルトラスーパー敏感モードになっていました。

 

ちなみに、ぼくは18歳の時に、

東京の自分の部屋の押入れにひっついていた、ゴキブリというものを初めて目にしたときに

そのままTシャツにパンツ一丁で隣町まで走って逃げたことがあります。

ハダシで。深夜2時に。

 

結局、同居していた兄に隣町から電話してやっつけてもらったものの、

その後一ヶ月間の敏感モードはそれはそれはすさまじいものでした。

 

寝てるときに足に何かに触れた気がすれば、

ビックーンと天井まで飛び上がり、

トノサマバッタのごとく部屋中を飛び跳ね、

殺虫スプレーを無差別乱射するような日々でしたが、

 

今回もあれくらいいきました。

 

メールを大家さんに送ってもらってから数日が経過した3月3日午前8時。

ピコーンという着信音に強烈に反応したぼくは、

びっくりしてこたつをひっくり返した直後、

残像が残るスピードでiphoneを右手に捕らえる。

 

ついにきた。Tさんだ。

 

・・・・・・。

 

メールを開き、

 

超速読でそこに記載されていた売買金額を確認し、

 

そっとiphoneの電源を切り、

 

頭の中でさっきまで海辺で弾いてたアコーディオン叩き割りました。

 

 

これだけで察して頂けると助かる。

 

まあ、完全に手が届かない金額でした。別荘プライス。

 

「ボーゼンジシツ」というのはまさにあのことでございましょう。

あの後はたして自分がきちんと三角におにぎりを握り、

宿泊者にきちんと朝食として配膳できたのか、

まったく記憶にございません。

おにぎりじゃなくてスポンジかなんかに海苔巻いてたような気もします。

 

そんな心折れてからのスタートだった3月3日。

 

こういう時ほど体を動かして早く忘れようと、

そしてこの日は前日に続いて、岩子島を周ることにした。

 

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というのも岩子島は家が全然ないと思っていたが、

橋を渡って右に行けば家がいっぱいあるらしい。

 

涙を拭いて、自転車にまたがる。

 

干汐のステキハウスが脳内でひたすらチラつく。

それを振り払うかのように、

ふとももはち切れんばかりのスピードで自転車をこぐ。

 

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橋を渡り、岩子島上陸。

右行ったらたしかにたくさん家があった。

 

 

岩子島はとにかく静かだ。

住宅街の中でも木々が揺らぐ音しかしない。

人もなかなか出歩いていない。

たまに細い路地を申し訳なさそうによろよろと軽トラが通るくらいだ。

 

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・・・・

 

岩子島なんか怖い。

向島とはあきらかに雰囲気が違う。

千と千尋みたいだ。

 

こわくてトンネル抜けられなかったので

仲間になりたそうにこちらを見ていた少年をつかまえて仲間にした。

 

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その後も新人少年K君(小学4年生)とともに、

農作業中のおばあちゃんおじいちゃんを中心に聞き込みまくり、

ポストに愛翔ちゃんお手製のスペシャルチラシを投函しまくる

 

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※このチラシについては後日説明

 

 

20人前後に声をかけたものの、

そしてその誰もが親切に相談にのってくれるも、

全く発展しない。

 

空き家を紹介され、大家さんにあうことができても、

全く発展しない。

 

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日も暮れてきて、少年も夜ご飯の時間になり帰ってった。

 

ぜんっぜんダメだ今日・・・

ぜんっぜんだめだ・・・

 

帰ろう。

 

すっかり戦意喪失し、

暗くなった岩子島を出て、渡船乗り場へと向かう。

 

自転車のカラカラカラという乾いた音が夕暮れの向島にむなしく響く。

 

岩子島で話を聞いたおばあちゃんの一人に言われた、

「あんたこんなこと一人でしてて寂しくないんかい?」

という言葉がなぜか頭にチラつく。

 

うーん。寂しいなあ。

寂しいし、みじめだ。

 

・・・・・。

 

このままでは帰れん!!

と自転車を180度切り替えし全速力で立花へ。

 

たちばな

 

今日という日の結果欲しさに、

立花で声をかけまくる。

 

それでも。

なにも発展しない。

 

誰もが親身になって応じてくれるだけに、余計悲しくなる。

 

あー。どうしたもんかこれ。とことんだめだ今日。

 

帰るのすらダルくなり、

以前住んでいた家の近くの浜辺で途方に暮れる。

 

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ここに当時良くお参りしていた小さい神社がある。

神様に挨拶だけして帰ろうと、

2礼2拍手一礼、祝詞を唱える。

 

どっぷりとした失望感の中自転車にまたがると、

ゴミ出しをしているおばさんが目に入る。

 

ことごとくダメな日だったので、

なにもまるで期待はしないまま、

最後にと軽い気持ちで話しかける。

 

それがその後数日間、大いにお世話になることになる、

Aさんとの出会いだった。

 

ぼくの切実さが伝わったのか、

腕を組んで、

「うーん、どこかないかなー」とずっと頭をひねって真剣に考えてくれる。

 

それだけでありがたいなあと少し救われた気になり、

 

「大丈夫ですありがとうございます、もしなにかありましたら、」

といつも通り名刺を渡して立ち去ろうとする。

 

すると、

 

「あー!!うちの隣が別荘でさ、一年に一度も使ってないようなところじゃけえ、

持ち主の住所教えるけえダメ元で聞きに行ってみい!うちの名前使ってええから!!」

 

と言ってくれた。

 

その一言だけで疲労感も孤独感も失望感もスッパーンと吹き飛び、

すっかり暗闇になった帰り道も、ニッコニコで帰ることができた。

 

人に恵まれていると思う。本当に。

 

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翌日からAさんフィーバーが始まる。

 

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