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2月6日夕刻の浄泉寺におけるスーパーローカルな事情

公開日: : ユウジ 記事

この尾道という街には、

れいこう堂」という伝説的なレコード屋がある。らしい。

多くの著名ミュージシャンにも慕われる、

ノブエさん、というおっちゃんがやっている。らしい。

れいこう堂という名前も、ノブエさんという名前も、

尾道にいる間何度も聞いてはいたけど、

実際に行ったことも、会ったこともなかった。

 

そんなノブエさんを主役にしたドキュメンタリー映画がある。

 

スーパーローカルヒーロー

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先に簡単な感想を述べれば、

必要性から生まれた、

映画という表現の存在意義を再認識できるほど素晴らしい映画だった。

 

監督が書いた映画に関連する書籍の出版記念のパーティーが今日、

「浄泉寺」というお寺で催された。

昨夜、ハライソにコーヒー飲みに行ったら、

関係者の方にお会いして招待していただいた。

パーティー前に映画も上映するとのことで映画も見ることができた。

受け付けで会った男前のあんちゃんと意気投合し、

向島の空き家事情やらについて長々と話し合い、

じゃあ今度家遊び行きますねなんつってたらその人が監督だった。

 

上映後には舞台挨拶として

ノブエさんも登場し、拍手喝采で迎えられる。

映画の通り、見た目は本当にふつうのおっちゃんだ。

シャイなのだろうか、

人前に立つのが少し恥ずかしそうにも見えた。

ヒーローであるかどうかを何も知らないぼくが語ることはできないが、

スーパーローカルであることは、確かだった。

 

その後パーティ会場に行くと、マルさん夫妻がいた。

これまた話すと長くなる、奇跡のようなつながりで出会ったアーティストの方だ。

出会ったのは昨晩のハライソだった。

まるさん夫妻が、ノブエさんにぼくを紹介してくれる。

「はじめまして。空き家を探して、服作りの拠点を構えるために群馬から来ました」

この5日で何度このセリフを言ったことか。

尾道人が称える尾道人であるノブエさんに、

当然ながら緊張した。

 

その後大勢の人が集うパーティが始まると、

自分でも驚くような、

孤独感に襲われた。

映画を見て感じていたのもあるのだろう、

尾道の人たちの家族のような一体感が、

心からうらやましいと感じた。

そして、

「ぼくはまだその家族の中に踏み込みこむことはできない」という、

確かな心の声が聞こえていた。

人付き合いの上手な人から見たらただのめんどくさいバカなんだろうが

服だかなんだか知らんが群馬の冴えない田舎からノコノコとやってきたばかりのぼくから見たら、

なんかすげえよくて、うらやましくて、キラキラしていて、

そこに土足で踏み込むことはできなかった。

 

ひっそりと会場から出て、

人のいない夕暮れの商店街をとぼとぼと歩いてあなごに帰る。

もやもやしながら歩きながら、

なにかが間違ってる気がしてきた。

このまま宿に帰って、自分の部屋に戻っても、

なんの救いもないような気がした。

くるっと回転して、

無意味な早歩きで浄泉寺へ戻る。

着いたものの、

どうしよう、と入り口の前で立ち尽くす。

するとガラガラガラと目の前のドアが開き、

中からニット帽かぶった小柄なおっちゃんが出てきた。

ノブエさんだった。

なんだかわかんないけど涙が出そうになった。

スーパーローカルヒーローであり、

どこにでもいるようなふつうのおっちゃんであるノブエさんは、

なぜぼくが入り口の目の前で、

両手をポケットにつっこんで突っ立っているのか、

一瞬で理解したような顔をした。

 

ノブエさんはたばこをぷかぷかと吸いながら、

ぼくは尾道人が称える尾道人である彼に少し萎縮しながら、

寒空の下で2人でいろんな話をした。

さっき初めて会ったばかりの、

群馬から来た怪しげなロンゲの若造の戯言を

まるで自分のことのように腕組んで考え込むノブエさんを見て、

なぜこの人が、

どこにでもいるようなカブ乗って走り回ってるこのおっちゃんが、

多くの著名ミュージシャンに慕われ、

多くの被災者に慕われ、

多くの地元民に慕われ、

多くのヨソモノにすら慕われるのかが少しだけわかった気がした。

それはおそらく、

ノブエさんの人生によって培われたフィルターから眺められた世界には、

著名なミュージシャンだろうが被災者だろうが地元民だろうがヨソモノだろうがなんだろうが、

常に見ているところは土より下の根の部分で、

根は同じ「人間」であるということは永遠であるという事を、

ものすごい深い部分で理解しているのだろうなと思った。

そしておそらく、ノブエさん自身も

著名なミュージシャンに慕われていようがいまいが、

ハーレーじゃなくてスーパーカブだろうが、

映画になろうがなんだろうが、

金持ちだろうが貧乏だろうが

ノブエさんはノブエさんでありつづけるということを、

まるで疑っていないんじゃないだろうか。

映画を見て感じた、

言葉にも形成されていなかったなんとなくのその気持ちを、

ノブエさんと対面して共有した彼の態度や、言動や、

まとっている空気などを実体験することによって、

確かなものとして確認することができた。

ごめんさみいから中入るわ。店おいでや。

と言って振り返る彼の背中は

大きかった。

 

監督のトシさんも上映後に言っていたけど、

ノブエさんはヒーローではない。

というか、ヒーローなどこの世にいない。

なろうとすれば誰でもなれる、ただ人として純粋に生きている人を、

「ヒーロー」という言葉と認識で隔離したエリアに投げこんではいけない。

それはただの責任逃避だ。

そんなことのためにこの映画をつくろうと思ったわけではない。

自分にできることを、ただやり続けるだけというのは、

ものすごく簡単で、難しい。

今のタイミングでこの映画見れてほんとに良かった。

 

時代に対する必要性によって生まれた映画です。

多くの人に見て欲しいと、見たら思うと思います。

 

機会があれば、是非。

公式HP

公式Facebookページ

 

今朝シャワー浴びながら

「向島ファイブピンポンプロジェクト」

という作戦を考えついたので、5軒ピンポン押してきます。

 

 

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