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死ぬな生きろ

公開日: : 最終更新日:2016/01/12 ユウジ 記事

 

また一人、古い友人が自ら命を絶った。

 

彼とは中学時代、よく一緒に歩いて帰った。
ぼくはチャリ通じゃなかったから、彼は自転車を降りて手で押しながら二人で歩いた。

退屈な部活の帰り、

薄汚れたナリをしてこの冴えない田舎町の夕暮れの中を歩く我々には、

10数年後の自分自身の迷いなど想像できなかっただろう。

いや、想像する必要すらなかった。
別になにも想像していない。

 

彼は迷い、命を絶ったという結果だけが、

三日前から、ただただ事実としてぼくの目の前に静かに置かれている。

 

その事実を見つめながら、思う。

今これが目の前に置かれている人間は、僕だけではないんだもんな、という事を思う。

 

このあまりに無感情な町の空気を吸いながら生きていると、
感情が必要なくなる。なくして同化した方が楽だからだ。

自分の中の自分より、他人の中の自分のために生きるようになる。
そっちの方が楽だからだ。

 

どこに存在するわけでもない、世間様が提唱する、

二十八歳の正しい姿、二十九歳の正しい姿、三十歳の正しい姿。

三十一、三十二、三十三….

に自分を合わせていかなければ不幸になるという催眠にかかり、

体中の感情の穴にフタをして、

どこに存在するわけでもない大行列に加われた気になり安堵する。

その大行列の全員に顔がない事に気づかないふりをして、これでもう安心だと思い込む。

 

その結果、実体がない「それ」が生まれる。

「それ」は、仕事終わりで帰宅した部屋とかに忘れた頃にやって来て、

電気をつけるまでの短い間、

闇の中で、部屋の隅からニヤニヤしながら見ていたりする。

人は、その気づいてしまった「それ」に圧倒的な恐怖を感じて慌ててまたフタをする。
さらに強くフタをする。

 

でもたぶん、「それ」ってよく見たら、まぎれもない自分自身なんですよ。

あなたが楽になるために窒息させて捨てたんだけど、

呪ってやると脅迫するために出てきたんじゃなくて、

許してあげると言いに来ただけだけなんです。

経験上からそう思う。思いたい。

 

だからといってその恐怖を受け入れましょうったって、

それと面と向かって対峙するという事がどれほどの恐怖を伴うものなのか、

このごく普通の一般市民のぼくにすら、よくわかる。

 

ってことはやっぱり、

「それ」ありきで生きるという事は、この国で生きるものにとっては普通な事なんだと思う。

 

でもこの「この国ではもう普通だから」という事実に対して、

個人としての見解を持つという責任だけは、
放棄してはいけないと思う。

仕事が第一、と自らを錯覚させて仕事に打ち込むことで忘れようとしてもいけないし

何のために放送してるのかもわからないテレビ番組に感情を流されてもいけないし

とりあえず今は、という聞こえのいい自己完結でなかったことにしてもいけないと思う。

 

そういうのって結局「考えんのめんどくさいからいいや」でしかない。

その個人的な責任放棄が連鎖して連鎖して全体を包み、

「普通」になってしまったという結果を逆説的に招いてるようにしか思えない。

 

もう、みんな麻痺してるんじゃないだろうか。

人が自ら命を絶つということの異常さに。

誰々が亡くなったらしいよ。と聞いた時、

選択肢として「自殺」が自然に出てきてしまう狂気の世界に。

 

悲しい。僕は本当に、本当に悲しい。

かつての友人が、自ら生きることを辞めようと決断してしまったことが。

 

みなさん、わかってるんでしょうか。

自殺者、なんて言葉があってはならないんです。そんなのは一人もいないんです。

最後の一粒まで徹底的に自分で自分を殺せるほど、人って強くないですよ。

ただそのきっかけを自分に与えて逃げたくなるほど、

人ってたぶん、どうしようもないほど弱いんですよ。

 

簡単に数字で加算して、年間何万人が、なんて、「利用価値がありそう」という体裁に守られた、なんの価値も必要性もない情報です。

目の前の一人で十分だろ。それを放置し続けた結果でしかない。

 

ぼくは、本当に、ただ、悲しい。悲しい。

普通の一人であるぼくには、彼の感じた恐怖が痛いほどにわかる。

もしそれがぼくの体内に、形ある証拠として存在するなら、

ナイフでまっぷたつに体を裂いて彼に見せてやりたいほどに、ぼくにはわかる。


それでもぼくは彼の下した決断に、同情はしない。してはいけない。

それだけは、絶対にしないと決めた。


悲しみの連鎖を一人でも多くの人が自ら断ち切ることができることを、彼の為に祈る。

そのために書いた。書けた。ふつうだけど嘘なく書けた。

 

自分の生まれ育った国が、未だにこんな未発達な国であることが、ぼくは悔しい。

 


疑ってください。世の中でスゴいと言われている、思われている人間が、本当にスゴいのか。

 

人と比較すんの、やめましょうよ。

 

 

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