タスマニアのきおく
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最終更新日:2016/01/12
ユウジ 記事
照れますが僕も照れながらなにか書いてみようと思います。
こうやって日本で生活していると、何気ないときに旅の記憶がフラッシュバックする時があります。
さっき車に乗ってて思い出した事です。忘れないためにも、書いておきます。
2011年冬、僕はオーストラリア、タスマニア島のホバートで、走行距離40万kmを超えるオンボロのバンを一人で運転していた。
街中で信号待ちをしている時、ふと隣車線で信号が変わるのを待つ車を見ると、同じようなボロいバンに、金髪の若い男女が詰め込まれている。
こいつらも車で旅してるのかな、と思って見ていると助手席の男と目が合う。
オッス!と言って手を上げて挨拶すると同時に相手の目が輝き、なんだこのアジア人とばかりに楽しそうに笑う。後ろの女の子も笑ってる。
青になったので車を走らせ次の信号でまた止まる。
隣に車が止まったのでもしやと思い見てみるとさっきの奴ら。助手席の男が話したのか今度は全員が興味深そうに笑いながら窓を全開にして僕を見てる。
「ハーイ!君は何で頭にタオルを巻いてるんだい!?」
そんなに目キラキラさせながら聞くことかいと思いながら返答に困る。わかりやすいドイツ人の訛りだった。
はやくしないと青になっちゃうので適当に言った。
僕「なぜなら私は日本人!ブッディスト(仏教徒)だからね!」
ド「How cool!!!(イカしてる!)」
いかしてねえし適当だけど向こうの車の中すごい盛り上がったからいいとする。
ド「どこで買えるんだい!?」
僕「買えないよ!特別な人だけ手に入る!」
ド「そうか悔しいなそれめちゃんこクールだぜ!どこに宿とってんの!?今夜うちらと飲もうぜ!」
僕「今日出るとこなんだよ!このまま北上する!」
ド「Shit!!いい出会いだったのにな!友情の証にこれあげる!」
といってフロントガラスにくっついていたヤモリのぬいぐるみをくれる。
向こうの車はなぜかテンションブチ上がってて、食べ物やらなにやら色々くれる。
「ありがと!」といって僕も頭に巻いてたタオルをあげようとするとその動作を見てそれくれるの!?と狂喜乱舞するドイツ人達。
やばいなダイソーのタオルのハードル上げすぎた、と若干の罪悪感を感じつつタオルを取ろうとすると後ろから猛烈なクラクション。とっくに信号は青になってたようだった。
僕「ごめん追いかけるから先行って!」
ド「オッケー!!フォローミー!ヤフーーウ!!」
と興奮気味に元気よく走り去るも、加速が異常に遅い僕の車は一瞬で見失ってしまう。
あんなにいい奴らだったのに、と後悔の念が収まらず街中をひたすらぐるぐる回り続けるも、見つからない。せっかく5人分のカラフルなダイソーのタオル全部引っ張りだしたのに。
1時間近く運転し続け、もう無理だな、、と街から出るため大通りに出る。
すると反対車線の彼方から奴らの車が走ってくる!同時に車の左右の窓から手が大量に出てきてなかなかシュールな絵だった。やっぱり向こうも探してたようだ。
向こうの車のかわいい女の子がアクロバティックに身を乗り出して手を伸ばす!嘘だろ命懸けかよ!これ100円だよ!という溢れでる本音を抑えつつ、僕も運転しながら懸命にタオルを外へ突き出す。
可憐なドイツ人の女の子の顔がキャッチの瞬間苦痛でおぞましくなったが、見事にキャッチ!時速50キロ!
興奮の叫び声は瞬時に後方へ消えていったが、車から身を乗り出してみんながずっと手を振ってくれている。
僕もずっと手を振り続けた。
おそらく一生忘れない、名前も知らない人達との出会い。
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